Study on Interfacial Strength Properties between PBO Fiber Modified

1 緒 言 PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾ-ル) 繊維は,繊維強化複合材料の有機系強化繊維の一つであ り,炭素繊維に匹敵する強度・弾性率を有し,有機繊維 中最高の耐熱性・難燃性を示す事から,FRPの次世代の 強化繊維としての用途展開が期待されている.1), 2) しかしながら,PBO繊維は,繊維/樹脂間の界面強度 が不十分であり,この界面強度は FRPの様々な力学的特 性に大きく影響するため,3)PBO繊維の FRPの強化繊維と しての優れた特性を最大限に活かすためには,界面強度 向上を目的とした繊維表面改質法の研究が不可欠となっ てくる. 現在,繊維/樹脂間の界面強度の向上を目的として, 様々な表面改質法が試みられている.中でも低温プラズ マ処理は,ドライプロセスで低公害であり,繊維自身の 物性を損なうことなく,親水性の官能基を表面に効率的 に付与できるといった利点を有している事から,新たな 表面改質法として注目されている.4), 5) 過去の研究によれば,PBO繊維に酸素プラズマ処理を 施した結果,繊維表面上の微小凹凸の形成,親水性官能 基付与により,エポキシ樹脂間との界面せん断強度の向 上が確認されている.6)しかしながら,プラズマ処理効果 は,処理電力・処理時間・処理圧力といった処理条件に 依存する為,これらの条件を変化させる事により,より 大きな改質効果を得られる可能性が考えられる.また, 過度の高出力・長時間でプラズマ処理を施すと,かえっ て接着面積が小さくなり界面強度を低下させる事が報告 されている事から,7)処理条件の変化がプラズマ処理の改 質効果に及ぼす影響を把握することは重要であると考え られる. そこで本研究では,酸素プラズマ処理の処理条件,特 に処理電力および処理時間が PBO繊維/エポキシ樹脂 間の界面強度特性に及ぼす影響を検討した.さらに,酸 素プラズマ処理を施した PBO繊維強化複合材料の層間 せん断試験,静的引張試験を行い,PBO繊維強化複合 材料の力学特性に及ぼす酸素プラズマ処理の影響につい ても検討した. 2 実 験 方 法 2・1 供試材 本研究では,繊維径 25.4μmの PBO繊維(東洋紡績 (株)製)を用いた.マトリックスには,エポキシ樹脂(エ ピコート 828)に,アミン系硬化剤(エピキュア 113)を 酸素プラズマ処理を施した PBO繊維/エポキシ樹脂間の 界面強度特性に関する研究 中 村 朋 松 岡 敬 坂 口 一 彦 Study on Interfacial Strength Properties between PBO Fiber Modified by Oxygen Plasma Treatment and Epoxy Resin