著者 らは,本 誌で,顎 運動を詳細に記録,再 現 する方法 として,Video方 式によるMultipoint XY-trackerの 応用1)について紹介し,次 いで頭部 動揺補正装置2)(digital autocanceller)を 考案 し て,各 個体の顎運動パターンを経年的に追跡 し, その変化の動態について観察 して きた。 その結 果,各 個体の運動のパターンは多種多様であ り, 特に成長発育中の被験者では,顎 運動を構成する 形態的因子の変化によっても,あ るいはまた,咬 合に参加 している乳歯の脱落や,後 継永久歯の咬 合への新たな参加,な どによっても変化 し,矯 正 治療によっても可変的であることが明らかになっ た。 しか し,こ こで対象とした顎運動 とは,切 歯 路(厳 密には下顎中切歯に装着 したtargetの 運 動路)の 記録であ り,し たがって...