脳神経内科領域の疾患で, 神経心理学的障害を生じる疾患は多数みられる。脳出血・脳梗塞などの脳血管障害や認知症疾患はもちろんのこと, 辺縁系脳炎やてんかんなど, さまざまな疾患で高次脳機能障害が生じる。さらに中枢神経疾患に留まらず, 運動ニューロン病や遺伝性筋疾患においても, 知的発達障害や認知機能障害を伴うことが知られてきている。したがって神経心理学的知識は神経疾患の症状評価に欠かせないのだが, 多くの脳神経内科医は運動障害, 感覚障害の評価は得意でも失行や失認など, 詳細な神経心理症状については詳しくなく, また学ぶ機会も少ないのが実情である。そういう意味では臨床神経心理士の資格取得は, 若い脳神経内科医にとって効率よく神経心理学的評価を学ぶ絶好の機会であろう。 また, 公認心理師や作業療法士などのコメディカルは神経心理学的症状の知識と評価法を学ぶことで, 患者の症状に気づき, 医...