Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は,小児期発症の最も頻度の高い遺伝性筋疾患であり,進行性で重症の筋萎縮と筋力低下を特徴とし,致死性の心不全,呼吸不全を呈する希少性疾患である.その治療法として我々はモルフォリノ核酸(phosphorodiamidate morpholino oligomer:PMO)を用いてフレームシフト変異をmRNA(messenger ribonucleic acid)レベルで修正して,疾患を治療する核酸医薬品,ビルトラルセンを国内企業と協力して開発した.医師主導治験として早期探索相試験を行い,その後,国内企業による後期相臨床試験が行われた結果,国内開発の核酸医薬品として初めて,条件付き薬事承認され,米国でも迅速承認されている.公知申請された合成副腎皮質ホルモン剤を除き,国内初めての筋ジストロフィ...